面接の無断キャンセル率の数え方 — 分母・分子の定義と公開平均の比べ方
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面接の無断キャンセル率の数え方 — 分母・分子の定義と公開平均の比べ方

/ 約11分 / 執筆: 株式会社Beta(ツバメAI面接 運営)

面接の無断キャンセル率を「何を分母・分子にするか」「事前連絡ありの変更をどう扱うか」から定義し、マイナビ各年版の数値(年ごとに算出法が違う)とどう比べるべきかを示します。原因分類つきの月次集計表の作り方もまとめます。

面接のドタキャンを減らす!応募直後から始める企業側の12の打ち手(以下「十二の打ち手記事」)が示した基本式(無断キャンセル率=連絡なしで実施されなかった面接数÷面接確定数)は単純ですが、分母・分子に何を含めるかで数値は大きく変わります。この記事では、実務での境界線の引き方と、公開されている「平均◯%」のどれと比べるべきかを示します。打ち手そのものは十二の打ち手記事を参照してください。

1. この記事の位置づけ — 分母・分子の定義と目安との比べ方を扱う

面接前日・当日のドタキャンを経験した企業は52%で、そのうち83%が連絡なしでした(エン・ジャパン『「中途採用の選考辞退」実態調査』2024年、n=293社)。十二の打ち手記事の基本式が分子に数えるのは、この「連絡なし」にあたる部分だけです。

十二の打ち手記事は「6. 【来なかった後】1回だけ提案し、数える」で、無断キャンセル率の基本式と、原因の内訳つき月次集計表の雛形をすでに示しています。この記事ではその式と表そのものを再掲しません。深掘りするのは2点です。1つは、分母(面接確定数)・分子(連絡なしで実施されなかった数)に、実務のどの場面を含め、どの場面を除くかという境界線です。もう1つは、公開されている複数の「平均◯%」のうち、自社の規模・業種に近いどれと比べるべきかです。

2. 分母「面接確定数」に何を含めるか

十二の打ち手記事の定義では、分母に数えるのは「日時が確定し、応募者に通知した人数」です。候補日を複数提示しただけで、まだ日時が確定していない人数は含みません。実務で迷いやすいのは、次の2つの場面です。

1つ目は、確定前に選考が終わった場合です。候補日を提示した段階、あるいは日程の調整中に応募者と連絡が取れなくなったり、辞退の連絡があったりした場合、これは「確定前の選考辞退」であり、分母には含めません(「3.」で扱う無断キャンセルとは別の指標です)。

2つ目は、確定後に企業側の都合で日程を変更した場合です。面接官の都合や社内事情で日時を動かし、応募者の同意を得て新しい日時で実施した場合は、面接確定という枠組みそのものは変わっていないとみなし、分母の人数を増減させずに同一の面接確定として扱います。実施日が動いただけであり、新しい確定が1件増えたわけではありません。この場合は十二の打ち手記事の「変更率」にも計上しません(変更率は応募者都合の事前連絡あり変更を数えるための指標で、企業都合の日程変更とは別の扱いです)。

業界団体(全国求人情報協会・日本人材紹介事業協会等)が無断キャンセル率の分母・分子を定義した公表ガイドラインは確認できていません。統一的な業界定義がない以上、自社では十二の打ち手記事の定義を毎月同じ基準で使い続けることが、他社と比べることより重要です。

3. 分子「連絡なし」に何を含めるか

十二の打ち手記事の基本式で分子に数えるのは、面接確定後に応募者から連絡がないまま実施されなかった面接だけです。確定後の取りやめは、連絡のタイミングによって3つに分けられます。

  1. 前日までに連絡があった変更・取りやめ — 分子には計上せず、「変更率」として別に数えます
  2. 当日に連絡があった取りやめ — 同じく分子には計上せず、変更率側に数えます
  3. 連絡なしで実施されなかった — この場合だけ分子に計上します

この3分類の判断基準は、実際に応募者と連絡が取れたかどうかだけです。連絡の内容が「体調不良」であっても「気が変わった」であっても、連絡さえあれば分子には入りません。原因の中身は率の計算には関係せず、「5.」で扱う原因分類の話です。

選考辞退と無断キャンセルが別の指標である点も、ここで改めて整理します。確定前に断られた場合は「確定前の選考辞退」で、分母にも分子にも含めません。無断キャンセル率は、確定という段階を一度越えたあとに、連絡なく来なかった人数だけを対象にした指標です。この境界をそろえておかないと、選考辞退が多い月と無断キャンセルが多い月を同じ「率」で語ってしまい、対策すべき場所を見誤ります。

以上を1枚の表にまとめます。

場面 含める 別計上する 含めない
候補日を複数提示しただけ(確定前) — — ○
確定前の選考辞退(連絡不通・辞退の連絡) — — ○
確定後、予定どおり実施 ○(分母・実施数) — —
確定後、企業都合で日程を変更し実施(応募者同意あり) ○(分母。同一の面接確定として扱う) — —
確定後、応募者から事前連絡があった変更・取りやめ ○(分母のみ) ○(変更率として計上) —
確定後、応募者から連絡なく実施されなかった ○(分母・分子とも) — —

4. 公開されている「平均◯%」のどれと比べるべきか

十二の打ち手記事が紹介した無断キャンセル率の公開数値は、調査年版によって数値だけでなく算出法も異なります。単純に数字を並べて「上がった」「下がった」と読むと誤ります。

調査年版 対象・母数 無断キャンセル率 算出法 規模別・業種別の内訳
マイナビ2021年版(2020年実績) 中途採用実績のある企業1,333件 全体11.1% 個社ごとの回答を集計 なし
マイナビ2022年版(2021年実績) 面接設定数・内定者数がともに1人以上の1,091件 全体9.0% 個社ごとの回答を集計 数値あり(規模別・業種別)
マイナビ2026年版(2025年実績) 中途採用業務を担当した人事担当者1,500名 2025年5.4%/2024年7.4% 面接設定者数の平均と無断キャンセル数の平均から算出 傾向のみ(数値なし)

2022年版までの数値は個社ごとの無断キャンセル率を集計した値ですが、2026年版は「面接設定者数の平均」と「無断キャンセル数の平均」という2つの平均値どうしの比率から算出しています。個社の回答を集計した値と、平均値どうしの比率という算出法の違いがあるため、11.1%・9.0%・5.4%という並びを、そのまま経年で無断キャンセルが減っているという時系列比較として読むことはできません。

マイナビの中途採用状況調査における無断キャンセル率を2021年版11.1%・2022年版9.0%・2026年版5.4%(2024年実績7.4%)の順で年表に並べ、2026年版だけ算出法が異なることを示した図
マイナビの中途採用状況調査における無断キャンセル率を2021年版11.1%・2022年版9.0%・2026年版5.4%(2024年実績7.4%)の順で年表に並べ、2026年版だけ算出法が異なることを示した図

規模別・業種別の数値まで分かるのは2022年版だけです。従業員規模別では50名以下20.8%・51〜300名7.9%・301〜1,000名11.3%・1,001名以上6.1%、業種別では流通・小売・フードサービス20.3%・運輸・交通・物流・倉庫13.2%、医療・福祉・介護5.2%でした(マイナビ2022年版)。2026年版は数値の内訳こそありませんが、「従業員数が少ないほど無断キャンセル率が高い」「業種別ではサービス・レジャー、医療・福祉・介護が他業種より高め」という傾向は示されています(マイナビ2026年版)。自社の規模・業種に近い水準を数値で比べる場合は、算出法が同じ2022年版の内訳を使うのが現実的です。2026年版の5.4%・7.4%は算出法が異なるため、2022年版の内訳と直接足し引きして比べることはできません。

自社の率を出したら、まず2022年版の規模別・業種別内訳のうち自社に近い区分と比べ、次に「5.」で作る月次集計表を数か月分並べて自社の傾向を見る、という順番を勧めます。

5. 原因分類つき月次集計表の作り方

十二の打ち手記事の月次集計表には「原因の内訳(本人に聞けた場合のみ記録)」という列があります。この記事ではその列の運用ルールを具体化します。表そのものは十二の打ち手記事を参照してください。

原因分類を統一的に定めた一次調査は見つかっていません。採用管理まわりの実務コラムには、キャンセル理由を2〜3パターンに分ける例が見られますが、いずれも調査データに基づかない編集部の見解にとどまり、分類の正しさを裏付ける数値ではありません。分類の粒度を決める一次がない以上、次の2つのルールを編集部として固定します。

1つ目は、原因は本人から聞けた場合だけ記録し、聞けなければ「不明」のままにすることです。連絡が取れなかった応募者について、担当者が推測で原因を埋めると、月をまたいで比べたときに「他社決定が増えた」のか「単に聞けた件数が増えた」のかが区別できなくなります。

2つ目は、分類の選択肢を年度の途中で変えないことです。選択肢の数は3〜5個程度に絞り、表計算のプルダウンなどで固定すると、担当者が変わっても同じ基準で記録が続きます。選択肢を増やしすぎると、似た理由がばらけて記録され、月次で見たときの偏りが分かりにくくなります。

不明のまま残る件数が多い月があっても構いません。無理に埋めるより、「聞けなかった」という事実をそのまま残す方が、翌月以降の比較に使えます。

6. 自社の率を出したら何を見るか

月次集計表で自社の率が出たら、2つの視点で見ます。

1つ目は、「4.」で示した公開数値のうち、自社の規模・業種に近い区分と比べることです。自社が2022年版の同業種・同規模の水準より高ければ、十二の打ち手記事の12の打ち手のうち、まだ打てていない時間軸を確認します。低ければ、現状の運用を維持しつつ、原因内訳に偏りがないかを見ます。

2つ目は、原因内訳の偏りです。「連絡つかず不明」が突出して多い月が続く場合は、原因が分からないこと自体が問題です。前日リマインドや当日の連絡手順(十二の打ち手記事の打ち手7〜10)が機能しているかを見直す材料になります。特定の理由(たとえば日時の勘違い)が繰り返し記録される場合は、確定通知の書き方(打ち手4〜6)を見直す材料になります。

自社の率をどの時間軸の打ち手に結びつけて改善するかは、十二の打ち手記事の「業種で優先順位はどう変わるか」で示した決め方を参照してください。

よくある質問

無断キャンセル率はどう計算しますか?

分母は面接確定数(日時が確定し、応募者に通知した人数)、分子は連絡なしで実施されなかった面接数です。事前に連絡があった変更・取りやめは分子に含めず、「変更率」として別に計上します。

無断キャンセル率の平均はどれくらいですか?

マイナビの調査でも年版によって11.1%(2021年版)・9.0%(2022年版)・5.4%(2026年版、2024年実績7.4%)と幅があり、2026年版は算出法が異なるため単純な時系列比較はできません。自社の規模・業種に近い年版の内訳と比べることを勧めます。

選考辞退と無断キャンセルは同じですか?

違います。確定前の選考辞退は分母にも分子にも含めません。無断キャンセル率は、面接確定という段階を越えたあとに、連絡なく来なかった場合だけを数える指標です。

出典

  1. エン・ジャパン「『中途採用の選考辞退』実態調査ー『人事のミカタ』アンケートー」2024年。『人事のミカタ』利用企業で直近1年以内に中途採用を実施した293社、2024年6月11日〜7月9日。 https://corp.en-japan.com/newsrelease/2024/38339.html
  2. 株式会社マイナビ「中途採用状況調査2021年版(2020年実績)」2021年1月調査。直近1年に中途採用実績のある企業の人事担当者1,333件、2021年1月14日〜20日。 https://career-research.mynavi.jp/reserch/20210317_3787/
  3. 株式会社マイナビ「中途採用状況調査2022年版(2021年実績)」2022年1月調査。従業員3名以上の企業で2021年に中途採用業務を担当した人事担当者1,400件、2022年1月21日〜24日。面接無断キャンセル率(全体・従業員規模別・業種別)は面接設定数・内定者数がともに1人以上の1,091件で集計(報告書p.53)。 https://career-research.mynavi.jp/reserch/20220407_25952/
  4. 株式会社マイナビ「中途採用状況調査2026年版(2025年実績)」2026年3月。従業員3名以上の企業で中途採用業務を担当し採用費用の管理・運用に携わる人事担当者1,500名、2025年12月17日〜22日。面接無断キャンセル率(2025年5.4%・2024年7.4%。面接設定者数の平均と無断キャンセル数の平均から算出)は報告書PDF p.34。 https://career-research.mynavi.jp/reserch/20260327_109053/