
掛け持ち施設長・店長の面接日程調整 — 勤務表と移動予定から面接枠を確保する
面接官が現場業務を兼任していると枠を出す時間が限られます。柱記事の3型(固定枠・当番制・一次を切り離す)の導入手順とよくある失敗を深掘りし、施設長・店長が掛け持ちする現場の調整点を示します。効果を示す公開調査は無く型の比較として示します。
面接官が現場業務を兼任していると、応募が来てから予定を聞く形では日程調整が止まります。面接の日程調整を企業側から2往復で設計する — 候補日3つと確定通知5点(以下「柱記事」)は、面接官の枠を先に押さえる型として固定枠・当番制・一次を切り離すの3型を示しました。この記事では、その3型それぞれの導入手順とよくある失敗、そして施設長・店長のように複数施設・店舗を掛け持ちする現場での調整点を深掘りします。
1. この記事の位置づけ — 3型の導入手順とよくある失敗を深掘り
面接官の枠をあらかじめ確保する型は3つあり、その一覧は柱記事の「現場面接官の枠を先に押さえる」にすでに表でまとめてあります。固定枠・当番制・一次を切り離すの3型を、仕組み・向く条件・費用体制の3列で比較した表です。本記事ではこの比較表を再掲せず、3型それぞれの導入手順とよくある失敗、そして施設長・店長のように面接官が現場業務を兼任する現場で生じる調整点を深掘りします。
前提となる数値も柱記事の再掲にとどめます。新卒採用担当者への調査では「面接日程の調整が煩雑」という回答が51.9%で最多でした(アイシス2025年)。人事担当者への調査では、面接官を担当できる人数が「1人(自分のみ)」という企業も22%あります(エン・ジャパン2025年、n=179社)。面接官が少ない、あるいは兼任している現場が一定数あることを踏まえ、以下で型ごとの動かし方を見ていきます。
面接官の兼任・少人数という条件は、施設や店舗を運営する現場に限らず広く見られます。以下ではまず固定枠と当番制という2つの基本形を扱い、それでも枠が出せない場合の選択肢として一次を切り離す型に進みます。そのうえで、施設長・店長のように複数施設・店舗を掛け持ちする現場に特有の調整点を扱います。
2. 固定枠 — 面接官が週の枠を先に出す型の手順とよくある失敗
固定枠は、面接官が週の面接枠(例: 火・木の◯時〜◯時)を先に出し、採用担当者がその中から候補日を組む型です。柱記事のとおり、面接官が1〜2人の現場に向く、最初の1手です。
導入手順は3つに分けられます。1つ目は、枠を決める人を1人に固定することです。面接官本人が自分のカレンダーを見ながら決め、採用担当者が代わりに決めることはしません。2つ目は、枠の共有方法を決めることです。カレンダーの共有機能を使う場合も、紙やホワイトボードの週予定表を使う場合も、採用担当者が常に最新の状態を見られるようにしておく必要があります。3つ目は、枠が埋まったときの扱いを決めることです。次週の同じ枠に回すのか、面接官に追加の枠を出してもらうのかを、実際に埋まる前に決めておきます。
よくある失敗は2つです。1つは、最初に枠を出したきり更新されないことです。面接官の勤務シフトや繁忙期が変わっても枠が古いままだと、採用担当者は実際には埋まっている枠に候補日を入れてしまいます。もう1つは、現場都合で直前に枠が潰れることです。急な欠勤対応や来客対応が入り、面接官が抜けられなくなるケースで、代わりに対応する人を決めていないと、応募者への連絡が直前になってしまいます。枠の更新日(例: 毎週金曜に翌週分を更新)と、直前に潰れたときの代替の連絡役をあらかじめ決めておくと、この2つの失敗を防ぎやすくなります。
固定枠が最初の1手とされるのは、当番表のような運用の仕組みを新たに作らなくても始められるためです。面接官が1人であれば当番を組む相手がそもそもいないため、固定枠以外に選択肢がありません(論理です。効果を示す調査はありません)。
3. 当番制 — 複数面接官で週を分ける型の手順とよくある失敗
当番制は、複数の面接官で週を分け、当番の週だけ枠を空けておく型です。柱記事のとおり、面接官が3人以上いる現場や、施設・店舗が複数ある現場に向きます。
導入手順は、当番表の作成と引き継ぎの2つが中心になります。当番表は、誰がいつの週を担当するかを月単位でまとめ、面接官全員が見られる場所に置きます。引き継ぎは、当番の週が変わるタイミングで、前の当番者が対応中の応募者の状況(候補日を提示済みか、確定済みかなど)を次の当番者に渡す作業です。この引き継ぎを口頭だけで済ませると、当番が変わった直後に対応漏れが起きやすくなります。
よくある失敗は2つです。1つは、当番の連絡漏れです。当番表を作っても、当番が変わったことを本人に個別に伝えていないと、前の当番者のつもりで対応してしまう、あるいは誰も対応しないまま日数が過ぎてしまう、ということが起きます。もう1つは、当番者が現場都合で対応できないことです。施設や店舗を複数掛け持ちしている場合、当番の週であっても急な人員不足でその日は身動きが取れない、ということが起こり得ます。当番表を全員が見える形で共有することに加え、当番者が対応できないときの代役をあらかじめ1人決めておくと、この2つの失敗を防ぎやすくなります。
当番の切り替えを曜日ではなく週の始まり(例: 毎週月曜)で統一しておくと、週の途中で担当が入れ替わることによる対応漏れを避けやすくなります。面接官ごとに切り替えのタイミングがばらけると、応募者への返信が誰の担当か曖昧になりやすくなります(論理です。効果を示す調査はありません)。
4. 一次を切り離す — 現場面接官は二次からにする型の手順とよくある失敗
一次を切り離すは、一次面接を採用担当者または自動化に任せ、現場面接官は二次面接から関わる型です。柱記事のとおり、面接官が兼任で枠を出せない現場や、応募が夜間・休日に集中する現場に向きます。日程調整そのものを無くす選択肢として、応募直後にAIで一次面接を実施する方法もあります(当社のツバメAI面接など)。
導入手順は2つです。1つ目は、一次面接で見る評価基準を先に決めることです。何を確認すれば二次に進めてよいかを、現場面接官と採用担当者が事前にすり合わせておきます。2つ目は、現場との合意形成です。「一次は現場を通さない」という運用に現場面接官が納得していないと、後から「なぜ一次に関わらせないのか」という疑問が出やすくなります。
よくある失敗は、評価基準を決めずに一次を任せてしまい、後で揉めることです。一次を通過した応募者が二次で現場面接官の期待と大きくずれていると、「なぜこの人を通したのか」という不満につながります。評価基準を先に文書化し、一次の担当者(採用担当者または自動化)と現場面接官の双方が同じ基準を見られる状態にしておくと、この失敗を防ぎやすくなります。
この型の追い風になっているのが、面接のWEB化です。中途採用の1次面接に限ると、WEB面接の割合は65.2%です(マイナビ『中途採用状況調査2026年版(2025年実績)』、面接設定者数1名以上のn=1,406件)。WEB面接を増やす理由には「面接官のスケジュール調整がしやすいから」も24.7%挙がっています(同調査、複数回答)。一次面接がWEB化・自動化されるほど、現場面接官は二次面接の枠だけを用意すればよくなります。

3型それぞれの導入手順とよくある失敗をまとめると、次のとおりです。
| 型 | 導入手順 | よくある失敗 |
|---|---|---|
| 固定枠 | ①面接官本人が週の枠を決める②カレンダーや週予定表で採用担当者と共有する③枠が埋まったときの扱い(翌週に回す・追加枠を出す)を先に決める | 枠を出したきり更新されない/現場都合で直前に枠が潰れる |
| 当番制 | ①当番表を月単位で作り全員が見られる場所に置く②当番が変わるタイミングで対応中の応募者の状況を引き継ぐ | 当番の連絡漏れ/当番者が現場都合で対応できない |
| 一次を切り離す | ①一次面接の評価基準を先に決める②現場面接官と合意形成する | 評価基準を決めずに任せて後で揉める |
5. 施設長・店長が面接官の場合 — 複数施設・店舗を掛け持ちする現場の調整点
施設長や店長のように、面接官が現場業務を兼任している場合は、固定枠・当番制のどちらを選んでも、枠そのものを出せる時間が限られるという制約が先に立ちます。介護施設の施設長に絞った、採用・面接業務への時間配分を示す一次データは見つかりませんでした。ここでは、小売業・飲食店の店舗責任者を対象にした業種横断の調査を主な根拠に、複数拠点を掛け持ちする現場で一般的に検討される調整点として示します。
小売業・飲食店の店舗責任者・エリアマネージャー・本部採用担当者への調査(ノーザンライツ2023年、n=106)では、採用プロセスの改善が必要な理由として「採用業務が主務ではなく十分な時間を確保できないため」が44.2%で最多でした。回答者の一人はこう述べています。「店舗業務が激務過ぎて、面接時間がなかなか決まらない」(42歳)。この調査は業種横断であり、介護施設に固有の数値ではありませんが、面接官が現場業務を兼任している状態そのものを示す数値として、施設長・店長の枠確保にも当てはまる考え方だといえます。
複数施設・店舗を掛け持ちする場合は、この兼任に加えて2つの制約が重なります。1つは、本人が現場業務から離れられない時間帯があることです。もう1つは、複数の施設・店舗を移動している場合、移動時間そのものが枠を圧迫することです。移動中は面接に対応できないため、固定枠・当番制のどちらであっても、移動のスケジュールを踏まえて枠を出す必要があります。この2点を直接裏付ける一次データは見つかっていないため、一般的に検討される調整点として述べるにとどめます。
固定枠を使う場合は、移動のない曜日・時間帯に枠を寄せることが手順に加わります。当番制を使う場合は、当番の週を移動の少ない週に合わせられるかどうかが、当番表を作る際の判断材料になります。いずれの型でも、面接官本人の現場業務のスケジュール(勤務表・移動予定)を先に押さえたうえで枠を決める、という順番は変わりません。
面接官が1人しかいない拠点ほど、この兼任の影響を直接受けます。複数の面接官がいる拠点であれば、当番制(「3.」)でその日だけ現場を離れられる人に当番を回す余地がありますが、面接官が1人の拠点では固定枠の中でも現場業務が優先されやすく、枠そのものが動きやすくなります。拠点ごとに面接官の人数が違う場合は、拠点単位で固定枠と当番制のどちらを使うかを分けて決めても構いません。
6. 自社の面接官の枠を点検する — 3型のどれが向くかを決める
自社にどの型が向くかを決める前に、2つの数を数えます。1つは、面接官1人あたりの月間面接可能件数の現状です。今月、面接官がどのくらいの件数に対応できたか(余地がまだあったか、すでに埋まっていたか)を確認します。もう1つは、直近で枠が確保できず遅れた件数です。応募が来てから面接官の予定が取れず、候補日の提示自体が遅れたケースが何件あったかを数えます。
この2つの数は、柱記事の「自社の日程調整を数える」で数える応募者ごとの記録から拾えます。面接官・拠点の列を分けて記録しておくと、特定の面接官や拠点だけ遅れが集中していないかも同時に確認できます。
この2つの数を踏まえ、面接官の人数と拠点数から向く型を判定する簡易フローが次の表です。効果を示す公開調査は無いため、面接官の人数・拠点数で選ぶ型としての目安です。
| 面接官の人数 | 拠点数 | 向く型 |
|---|---|---|
| 1〜2人 | 1拠点 | 固定枠 |
| 3人以上 | 1拠点 | 当番制 |
| 人数によらず | 複数拠点(掛け持ちあり) | 固定枠または当番制+「5.」の移動時間を踏まえた枠設計 |
| 面接官が枠を出せない・応募が夜間休日に集中 | 問わず | 一次を切り離す |
面接官が1〜2人かつ1拠点であれば固定枠から始めるのが編集部の目安です。面接官が増え、拠点も複数になるほど、当番制と「5.」で示した移動時間の制約を組み合わせて考える必要が出てきます。すでに枠を出す時間そのものが取れない場合は、一次を切り離す型で日程調整の対象そのものを絞り込む選択肢があります。
型を決めたら、柱記事の比較表(仕組み・向く条件・費用体制)で運用の全体像を確認し、導入手順は本記事の該当する見出しに戻ってください。
よくある質問
面接官の予定が取れないとき、まず何から始めればよいですか?
面接官が1〜2人なら固定枠、3人以上・複数拠点なら当番制が編集部の目安です。効果を示す公開調査は無く、面接官の人数・拠点数で選ぶ型として示しています。まず「6.」の2つの数(面接官1人あたりの月間面接可能件数の現状、直近で枠が確保できず遅れた件数)を数えるところから始めてください。
施設長や店長が面接官を兼任している場合、特に注意することはありますか?
介護施設の施設長に固有のデータは見つかっていません。業種横断の調査(ノーザンライツ2023年、n=106)では、店舗責任者等の44.2%が「採用業務が主務ではなく十分な時間を確保できない」と回答しています。複数拠点を掛け持ちする場合は、これに加えて移動時間の制約も一般的に検討する必要があります。
「一次を切り離す」とは、面接官を無くすということですか?
いいえ。一次面接を採用担当者または自動化に任せ、現場面接官は二次面接から関わる型です。評価基準を先に決めることが前提になります。
出典
- 株式会社アイシス「『面接日程調整』に関する調査」2025年。直近3年以内に新卒採用を経験した採用担当者437名、2025年11月7日。 https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000036.000086226.html
- エン・ジャパン「『面接官』に関する実態調査ー『人事のミカタ』アンケートー」2025年。『人事のミカタ』利用企業の人事担当者179社、2025年7月15日〜8月6日。 https://corp.en-japan.com/newsrelease/2025/42895.html
- 株式会社マイナビ「中途採用状況調査2026年版(2025年実績)」2025年12月調査。従業員数3名以上の企業で2025年に中途採用業務を担当した人事担当者1,500件、2025年12月17日〜22日。1次面接のWEB面接割合は報告書p.69(65.2%、ベース: 面接設定者数1名以上のn=1,406)。WEB面接を増やす理由はp.79(「面接官のスケジュール調整がしやすいから」24.7%、複数回答)。 https://career-research.mynavi.jp/reserch/20260327_109053/
- 株式会社ノーザンライツ「アルバイトの採用実態調査」2023年12月18日〜19日(IDEATECH「リサピー®」によるインターネット調査)。小売業・飲食店の店舗責任者・エリアマネージャー・本部採用担当者106名(内訳の人数は非公開)。「採用業務が主務ではなく十分な時間を確保できないため」44.2%は、採用プロセスの改善が必要な理由の複数回答。自由回答「店舗業務が激務過ぎて、面接時間がなかなか決まらない」(42歳)は1件の定性コメントで、統計的な代表性はない。 https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000009.000045940.html




